2020年から大幅に変更されることに
新たな認定看護師制度がスタート
1995年から始まった認定看護師制度は、2020年に新たな制度に生まれ変わりました。これまでの認定看護師制度と2015年度から始まった特定行為研修制度がひとつになり、より専門性の高い認定制度になったのです。
特定行為研修制度が始まった背景には少子高齢化が大きく影響しています。高齢者の割合が増え、さらなる在宅医療等の推進を図っていくためには医師や歯科医師の判断を待たずに看護師が一定の診療の補助ができる必要があります。そのために、点滴などの一定の診療の補助を行う看護師を養成・確保することを目的として、その行為を特定し、手順書によってそれらを実施する場合の特定行為研修制度が創設されました。特定行為研修を認定看護師制度の中に取り込むため、教育時間数は615時間から800時間に増えましたが、短期間で看護師の専門性を高めることが可能になりました。
新たな制度で期待される能力とは
新制度に移行することにより、認定看護師にはこれまで以上の専門性や能力が求められるようになりますが、日本看護協会では以下のように定義しています。
- 「より質の高い医療を推進するために、多職種と協働してチーム医療の中心的役割を果たせる存在であること」
- 「特定の認定分野において模範的な存在であることを示し、看護職者へ指導やコンサルテーションを行うことができる」
- 「高い臨床推論力と病態判断力を持っていること」
- 「特定の看護分野の対象にある患者さんやその家族の権利を擁護し、自己決定を尊重した看護を実践できること」
- 「地域医療への理解を深めて多職種協働における態度や姿勢を強化すること」
- 「エンドオブライフにおける病態を理解し、的確なケアを実践できること」
21分野から19分野に
新制度では、認定分野は21分野から19分野に変更されました。ただし、2分野が廃止されるわけではありません。一部を包含した形になるだけです。現行制度の「救急看護」と「集中ケア」は統合されて「クリティカルケア」に、「緩和ケア」と「がん性疼痛看護」は統合されて「緩和ケア」に変更となります。また、「透析看護」から「腎不全看護」のように名称が変更された分野もあります。
変更ポイント
これまでの認定看護師制度と大きく変わったのは「特定行為研修」が教育課程に組み込まれることです。医師の診療の補助として、手順書に基づいて「特定行為」を行うことができるようになります。
新たな役割が追加
認定看護師の役割は「実践」「指導」「相談」と変わりませんが、専門性を維持・向上するために、「看護実践を通して職場の模範的な存在となる」「エビデンスに基づいた指導ができる」「専門分野において多職種のコンサルテーションを行える」などの役割が新たに追加されました。